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カイヤン雑記帳

カイヤンがやったことを書いておいたり、ぼやきたいことを書き込んだりする場所

神が帰省してるけど集合は測れる

おはようございますまたはこんにちはまたはこんばんは。カイヤンです。

もう10月ですか。早いものです。 なんか大洗合宿の記事を書く気力が沸かないまま新学期がスタートしてしまいました。

まあ新学期自体は9/23とかいう異常な早さで始まってたんですけども。10月入学の入学式より早いってバカですか。

今日も例によって有益さのカケラもない記事です。

なんというか、こう、少しでも有益そうな記事を書けるってすごいなあと思います。 私なんかいろんなネタでぼやくのが精一杯です。

まあもともとここは雑記帳、やったことを書く場所ですし多少はね? では何かしたのかというと……そして何かを為したわけでもないことに気づくカイヤンであった。

最近測度論ゼミを始めました。なんかいろいろ始めてばかりで続いてないけれど、これは他人とやるものである以上、続けられると思います。

というわけで今日はなぜ測度論かというお話を。

測度論。それは"もの"の"測り方"を一般化した理論です。 "もの"というのは集合です。長方形の面積は縦*横だとか、球の体積は4/3 π(半径)3だとか、いろいろあります。

じゃあ長方形や直方体をベースにすれば積分で体積が定義できるじゃないか。その通りです。ユークリッド空間の中の(一部の※)"もの"に関しては。

上で積分と言いましたが、ユークリッド空間上の関数の積分の一番有名で初等的な定義はリーマン積分でしょう。 これは関数の定義域を分割し、その上の関数値から直方体(長方形)を多数用意して関数の下の体積を近似、分割を限り無く細かく取るというものでした。 すなわち、"縦に"切った近似和の極限です。

この定義には欠点がいくつかあります。抽象化を考える上では、関数の定義域の幾何学的性質に依存しているという点です。ここで関数の定義域はユークリッド空間(の部分集合)でした。 つまり、ユークリッド空間の"便利さ"に頼った定義なのです。一方、値域が実数なだけで定義域がユークリッド空間(の部分集合)とは限らない関数はたくさん存在します。 例えば一般の距離空間に入っている距離関数や、実数を係数体とする線型空間内積、或いは線型空間のノルム……枚挙に暇がありません。 しかしながら、このような抽象的な関数の積分は、しばしば必要とされます。代表的な分野は確率論でしょう。 聞きかじっただけではありますが、関数空間上に値を取る確率変数を扱わなければならないことは応用上もあるようです(関数空間上の中心極限定理→経験過程)。

具体的な計算についても、欠点があります。それは"複雑な"関数に弱いということです。この"複雑さ"というのは大抵極限操作によって出現します。 連続関数列の極限関数が連続関数とは限らないのは有名です。 有限個の点で不連続な程度なら問題なくとも、これが可算個になると非常に厳しくなったりします。ディリクレの関数が良い例です。 一方、極限と積分の交換はみんなしたくなります。例えそれが広義積分との交換だとしても。フーリエ変換が良い例です。

ではどのようにすれば避けられるのでしょうか。抽象化する以上考える関数fは、なんらかの集合X、その部分集合A上の実数値関数です。

 f:A \rightarrow \mathbb{R}

この関数、\mathrm{dom}f=Aですが\mathrm{cod}f=\mathbb{R}です。値域にはユークリッド空間の便利さが残っています。 なので値域の分割を考えます。分割に対応する関数値の点から集合Aに"垂線"を下ろせば先ほどと似たような"直方体"が得られます。

しかしここで問題が生じます。集合Aはただ集合としか定めていないのです。従って"直方体"の"底面"の面積というものはこのままでは存在しません。 じゃあその"底面積"を決めてやろうじゃないか、というのが測度です。"底面積"は集合の"測り方"で決めますがその"測り方"が測度であると言う方が若干正確さが増すでしょう。

このように、定義域に"測り方"を入れてあげることによって"横に"切って作った"直方体"の近似和を正当化するのが測度に基づく積分です。 測度には様々なものがありますが、元はといえば図形の測り方だったわけです。実際、区間に対してのみ明確に返り値が定義される形でルベーグ測度を定義しますが、 それを用いた積分、つまりルベーグ測度に基づく積分(ルベーグ積分)によりもっと複雑な図形も測ることができます。 それこそディリクレの関数のグラフはある種スポンジのような複雑な図形ですが、ディリクレの関数はルベーグ積分することができます。

以上、測度の話でした。 ※上では複雑な図形を扱えるようになったと書いていますが、選択公理を仮定する場合ルベーグ測度をもってしても測れないようなユークリッド空間内の集合(ルベーグ非可測集合)を構成できてしまいます。 これがどれほど不気味な集合なのかというと、 バナッハ・タルスキーによれば、球を最低5つのルベーグ非可測集合に分割して再び組み直すと、元と同じ球が2つ作れてしまうのです。なお、選択公理ではなく実数の全ての部分集合はルベーグ測度で測れるという公理もあるにはありますが、数学をやる上では大抵選択公理が選ばれます。また、測ることができる集合(可測集合)全体の集合(可算加法族=σ-アルジブラ)を考える必要があったりします。

ちなみにゼミでは※に書いたような話は扱わないで、まずは概論をという形で進めています。初日は可算加法族の定義と性質でした。

数強の皆様におかれましては、本記事の説明は易しすぎるないし厳密でないと感じられると思いますが、それはごもっともでございます。

謝辞というか引用元

このブログで数式を初めて用いた記事となりましたが、markdownでの数式の書き方はid:auewe様の以下の記事を参考にしました。素敵な記事をありがとうございます。 また、測度・積分についての上の概説は、東工大数学科や数理・計算科学コースの講義で拝聴した話を、拙いながらも私の言葉で記述したものです。

auewe.hatenablog.com