カイヤン雑記帳

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【社会人学生AdC】未回収の博士号に対する2年目の進捗状況【12/25】

おはようございます,またはこんにちは,またはこんばんは.カイヤンです.

今回は社会人学生AdCの12月25日担当の記事です.

社会人博士(社D)は人数が決して多くないため,情報量も多くありません. 社Dを検討している大学の後輩もちらほらいますので,なぜ&どのようにして社Dになったのか,などだけでも公開することで集合知への寄与ができるのではないかと考え,今回のAdCに参加しました

という理由で昨年参加しました(以下の記事).

chijan.hatenablog.jp

これに引き続き,今回は2年目の社D生活を振り返っていこうかと思います. 前回と異なり,何で志したかとかの話はカットカットです.従って,これから社Dを考えている方々には,まったくつまらないものになることをあらかじめおわびしておきます*1

自己紹介

誠に申し訳ございません,軽く自己紹介させてください.

  • 受託分析や開発がメインの企業勤め(修士卒就職してから3年目).
  • 博士課程生としてはD2.
  • 研究室は修士と同じところで,分野は統計的学習理論・数理統計学
  • 査読有り国際雑誌論文3つ,非トップ国際会議論文1つ(オーラル発表),査読中国際雑誌論文1つ(単著),その他国内会議発表いくつか.
  • 国内の招待講演1つ(お招きいただきありがとうございました).
  • 受賞経験はない(弊ラボの政治力は低い).
  • 査読中の国際雑誌論文にかかる成果以外は入学前のもの(博論には使える).
  • 競技系の実績はない.

研究成果が去年に比べてちゃんと増えていてよかったなと思います(小並感). 入学前成果だけで卒業するマン*2にはならなさそうなのもよかったです.

前回の続きとCOVID19

前回の記事の終わりでは,ラボ訪問頻度や研究の進捗などについて次のように述べていました.

  • 社会人2年目の後半ゆえに忙しく,月一でラボに行ければよい.
  • 2017FY, 2018FYに作った定理が査読中.
  • Julia勉強再開.
  • 単位回収がちょっと遅れ気味.

これについてどうなったか,簡潔に先に述べると次のようになります.

  • 3年目なので当然タスクは増えているものの,リモート前提によりラボとの関わりは激増できた.
  • ~2018FYまでの成果はすべて論文として出版された.2020年夏に新しい定理を作って論文査読中.
  • Juliaはいいぞ(恐ろしく速い).
  • リモートのおかげで必要単位回収完了見込み.

このように去年とはうってかわってかなり良好な状況になりました.あとJuliaはいいぞ. 査読が無事通過したのもそうですが,生活面で大きく改善できたのはやはりリモート化のおかげです.

このAdCでも多くの人がCOVID19の影響を書いていると思いますが,少なくとも自分にとってはリモート化が進んで仕事も大学も両立しやすくなるなど,悪影響はほぼなかったです. むしろ,移動時間が要らなくなるとか,仕事とラボの切り替えが1秒とか,かなり時間を有効に使える状況になっていました.利便性を確保してくださった方々には感謝しかないです. ただ,フルタイムの学生だったラボメンはデメリットもかなり感じたと思います. 特に我々は理論系なので,対面でホワイトボードを使ったディスカッションができないとかなり不便です. とりあえずマウスとZoomホワイトボードで頑張る感じになっていますが,事前にtex打ちした資料などたたき台なしでやるのがちょっと苦しくなってしまいました. 一方,対面で実行可能だからこそ無駄が多かった必修の無駄がかなりそぎ落とされた形になり,単位がとりやすくなったのは大きなメリットでした. もちろんそもそもオンラインで開講するためにはかなりの準備が必要になっていたかと思いますが,少なくとも某文系科目についてはリモート化バンザイという形でした(不謹慎ですが).

研究と発表

研究に関しては,春ごろにイロイロあった後に自分の過去の研究を見直していたら,ちょっとしたアイデアが思い浮かび,それを使うとかなり強力と思われる結果が導き出せて,無事博士課程在籍中の研究成果も生み出すことができました.雑誌に論文を投稿しつつ,秋に開催される自分野の最大の学会でも発表して,更に招待講演にお招きいただくなど,研究面が充実した年でした. 学会がオンラインでも楽しかったという話は,この前のIBIS2020参加報告に譲ることにします.

chijan.hatenablog.jp

余談:Julia言語

上でちょっとJulia言語について触れていますが,これは本当に便利な言語です. 動的型付けでPythonMATLABのようにサクっと書けるにも拘らず,これらより十倍以上速いです*3. コーディングコストと速度のトレードオフなんか本質的ではなかったんや! Pythonで20時間かかった実験が2時間で終わると,結果の確認もすぐにできていろいろ試せて非常に研究が捗りました. 特に隙間時間で進めざるを得ない社Dにとってかなり味方でした.

博士論文の進捗

上記のようにいくつか論文も採択されて博論を書く準備も整いました.去年の不安感はどこへやら. 社Dゆえに博論を一気に書き進めることは時間的に難しいため,D2の秋ころから博士論文の執筆も進めることにしたのですが, 業績としては雑誌3本+国際会議1本+投稿中雑誌1本と十分な数があるため,書けるところ書くというよりいっそのこと早期修了を狙えないか考えています. 弊学ではクオータごとに短縮することができるので,D3の6月(1Q終わり)の修了を目標としました. といってもまだ目標レベルであり,専攻から早期修了の対象者か判定結果はまだもらえていません.これを待ちつつ,博論を進めているのが現状です.

博士論文の構成・執筆計画ですが,研究業績を大きく分けると2つのテーマでの成果になるため,それぞれを1章ずつにまとめつつ,共通の背景や基礎理論などを先頭に3章ほど書く予定です. 今のところは共通部分たる最初の3章がほぼ完了しており,骨子となるテーマのうちの1つも第4章としてまとめ終えています. もう一つのテーマが投稿中(査読やりとり中)の論文が関与してくるため,これを含む章をどのようにまとめるかが頭の使いどころとなっています. 1回目の査読は返ってきているので,早期修了に間に合わないことはないかなと思いつつ,予備審査までの博論第一稿の完成が少しタイトスケジュールな印象です. 冬休みの1週間でいかに進められるか勝負の年末年始となりそうですので,今後も頑張っていきたいと思います.

むすび

以上,簡単な近況・進捗報告でしたが,社D2年目の振り返りでした.トリにふさわしい記事とは言えない簡素なものになってしまい申し訳ありません. 最後になりますが,望月紅葉さんと幸せな家庭を築きたいさん,今年度も社会人学生AdCを用意していただきありがとうございました.

*1:イキイキインターネットの記事になると思います.

*2:制度上は可能だがもしそうなっていたら研究業績のコンスタントな生産能力がないことを証明してしまうようで甚だ悔しい.

*3:並列化やJIT化をしないnumpyであるアルゴリズム(研究の実験)をフルスクラッチした場合より,同様にナイーブなフルスクラッチをJuliaでした場合の方が実測10-20倍程度高速だった.