測度論ゼミ~完備化と構成
おはようございますまたはこんにちはまたはこんばんは。カイヤンです。
気温差激しいせいか、未だに咳が治りません。
今日も測度論ゼミの話。
20日の木曜日は測度論ゼミ第3回でした。 第1、2回はそれぞれ9月29日と10月13日でした。 第1、2回では可測空間、測度空間を整備しました。正直前回の記事で述べたモチベーションの中に出てくる用語・性質をちゃんと定義したという感じです。 ですがまだまだ積分を扱うには準備が足りません。そのうちの一つが第3回の内容です。この回からようやく測度論らしくなってまいります。
第3回では完備化と測度の構成(の準備)を扱いました。
完備化
完備化とは、測度が0であるような集合のすべての部分集合を可測集合とし、かつその測度を0とするということです。 測度の性質から、測度が0であるような集合の部分集合で、可測なものは測度が0となることがすぐわかります:
しかし、上のAが可測集合でない()ときはを定義することができません。測度も集合関数ですから、定義域の外のものに対して作用させることはできないのです。 このような"ゴミ"が少しでも可測集合に"コンタミ"すると、測度に引数として渡せなくなります。 すなわち
ということです。
我々は新たな積分を作りたくて測度論を扱っています。積分は大域的な情報の影響を受け、局所的な情報はしばしば無視される性質を持って欲しいというのは、開区間上でも閉区間上でもリーマン積分ができれば値が変わらないことなどからわかるでしょう。しかし、測度0の集合に包まれているような本来"小さく"あってほしい集合という、いわば局所的な情報が入り込むことにより、このままでは積分が定義できなくなってしまいます。
そこで、ゴミはすべてゴミであると言い切れるようにしたいわけです。それが先ほど述べた、測度が0であるような集合のすべての部分集合を可測集合とし、かつその測度を0とするということになります。
この測度が0であるような集合の部分集合のことを、(測度を明示するならμ-)零集合と言います。文献によっては単に測度が0であるような集合のことを零集合と言うこともあります。
積分の定義自体は実は完備測度でなくともできます。しかし先ほど述べた積分が持っていて欲しい性質を持つには完備測度で積分を定義すると幸せになれます。
完備化はとても構成的です。数学でしばしば見かける存在(と一意性)だけがわかるものとは大違いです。簡単に構成を述べると、可測とは限らない集合Aに対し、
なる可測集合で挟み込み、そしてAの新たな測度を
で定めてあげます。こうすると測度が0であるような集合の部分集合の測度は0になり、 またそのようなものとの和集合(上のなど)の測度は和集合をとる前(この場合)となります。 もちろんもともと可測集合であればととればいいので、元から入ってる測度と一致します。うれしい。
構成の準備
まだ準備段階なのでまとめにくいのですが、測度っぽいけど測度じゃないような集合関数
を用意し、定義域を的確に狭めたりいろいろやって測度を作ります。 この測度っぽいけど測度じゃない集合関数を外測度といいます。測度より定義域が広いので、"外"なんだと思います。 今日の時点だとこれくらいしか書けませんが、最終的には外測度を経由して有限加法的測度から完備測度を作ります。ある性質を持つ測度であれば、それを元にした外測度を経由して作る完備測度と、先ほどのセクションで述べた意味の完備測度が一致して楽しくなれるらしい。
以上です。今日はここまで。おやすみなさい。
追伸
なんで